高周波無線技術を支える高周波計測器のご紹介

2022.06.24

今回は製造部が、高周波無線技術を支える高周波計測器を紹介いたします。

【はじめに】
高周波を用いた通信・放送機器(増幅器、発振器、周波数コンバータ、フィルタ、共用器など)を生産、性能評価するためには多くの計測器が必要となります。当社で保有している高周波計測器とは一体どんなものがあるのか、今回はネットワークアナライザとオシロスコープについて、簡単な説明を交えて紹介していきます。

 

【①ネットワークアナライザってどんなもの】
ネットワークアナライザとはマイクロ波の回路分野において、入出力信号を相対値としてグラフィカルに表示する装置であり、高周波回路網の通過・反射電力の周波数特性を測定する際に使用します。
高周波の電圧と電流は直接測定することが困難なので、DUT(テスト対象デバイス)のRF信号に対する応答として特性評価する必要があります。ネットワークアナライザでは、DUTへの入力信号と出力信号の比(どのように変化して伝達(通過、反射)されるのか)を観測することによって特性を観測することができます。
例えば、増幅器に入力した信号がどれだけ大きくなって出てくるのかという利得や、このフィルタでどのくらい余分な信号をカットできるかという減衰性能を、周波数ごとの特性として表示することができます。

 

ネットワークアナライザ

主な観測可能項目
・VSWR(電圧定在波比)
・伝送特性(利得、損失)
・位相特性(遅延)
・スミスチャート(整合性)

 

 

当社ではネットワークアナライザを20台以上保有
周波数範囲は3kHz~50GHzと幅広い周波数の製品性能を評価することが可能です。
タイムドメインオプションなども搭載し、計測から解析まで幅広く対応できます。
・Keysight N5245、E5071シリーズ他

 

【②オシロスコープってどんなもの】
オシロスコープとは、電気信号を視覚的に表示し、信号の時間変化を示す計測器であり、主に電圧値の変化を観測する際に使用します。
信号が時間とともにどのように変化するのかを電圧(縦軸)、時間(横軸)で表示されます、製品規模にかかわらず、電子部品が含まれている場合、設計~検証~デバッグの工程では、多くの電気信号を解析することのできるオシロスコープは必要不可欠です。
複数のポートを有しており、複数の制御信号を同時に観測することで、正しく制御信号が送られているかといった、タイミングなどを容易に比較することができます。また、信号内のノイズ成分や、電源のオーバーシュート等ミリ秒やナノ秒といった非常に短い時間の電圧変化を観測できることは、オシロスコープの優れた機能です。

 

オシロスコープ主な観測可能項目
・信号の時間と電圧、周波数
・特定部分の発生頻度
・ノイズ成分の大きさや時間変化

 

 

 

当社ではオシロスコープを15台以上保有
サンプリング周波数20GHzと非常に高く詳細を表示することが可能です。
・Keysight MSO9104、DSOX3104シリーズ他

 

今回は2種類の計測器を紹介いたしました。高周波製品を評価、測定する装置は他にも多くの種類がありますので、これからも紹介していきたいと思います。