SDRのご紹介
2021.01.06
【はじめに】
今回は弊社でも開発をしていますSDRを紹介します。
とはいえSDRなんて知らない・・という方も多いかもしれませんので
まずは簡単な説明から。
【SDRって何?】
SDRとはSoftwareDefienedRadioの略で、ソフトウェア無線と訳されます。一言で説明するとソフトウェアで機能を変更できる無線機器です。
従来の無線機はハードウェア(電子回路)で通信方式が決まっていたため、通信方式の種類や変更に応じてハードウェアをそれぞれ用意する必要がありました。
SDRはハードウェアを共通化して、ソフトウェアで様々な方式に対応できるようにしたものです。以前はアナログ回路でしか処理できなかったようなことを半導体技術の進歩によりディジタル処理で実現できるようになったことでソフトウェア化が進んだ結果ともいえるかもしれません。
そうはいっても実際にはハードウェアによる制限があり、周波数範囲や性能などある程度限られた条件の中で変更が可能というのが実態になります。
【SDRの構造は?】
一番シンプルな例
受信系はアンテナからの信号をそのままAD変換してディジタル信号にして処理します。送信系はディジタルで生成した信号をDAコンバータでアナログ信号にして出力します。単にソフトウェアで処理を変更できるようにRF信号をディジタル処理にしただけです。
この構成では弱い信号をそのままディジタル信号に変換するとノイズが多かったり、高い周波数を扱うのが難しいといった制限があります。そのため次のようにAMPや周波数変換などのアナログ回路を組み合わせた構成が一般的です。あとは性能の向上にフィルタを入れたり、アンテナが1つの時は切替SWがついたりと用途に応じていろいろな構成があります。
【どんなSDRがあるの?】
AmazonでSDRを検索すると多くの製品がヒットしますが、一番有名なものはRTL-SDRでしょう。
世界中でたくさんの人が利用しており、webで検索すればたくさん応用事例が出てきます。
例:
・GPS信号の受信
・航空機の位置がわかるADS-B信号の受信
・気象衛星からの信号を受信
専用機器に比べれば性能は低く、業務用としては厳しい部分もありますが、数千円のSDRでこれだけのことができるというのは一昔前から考えると驚異的です。
高性能なものは、最近話題の5Gの試作機としても使用されるなど、様々な業務で実際に応用されています。
【少し製品紹介】
弊社ではADIから発売されているRFアジャイル・トランシーバを使ったSDRを開発しています。
こちらはADI社AD9364を用いたPCのPCIEに取り付け可能です。
https://www.tmele.jp/product-function/597/
構造計画研究所様でGPSのエミュレータの信号発生器として使っていただいています
https://network.kke.co.jp/products/sdr-sat/
現在、さらに高性能になったADI社ADRV9009を使ったSDRを開発中です。